TexLive + AtomでTeX†Windows環境でTexLiveを用いてTeXをインストールして,Atomで編集&latexmkでコンパイルするまでの手順 Tex Liveのインストール†TeXは様々なファイルの集合体で構成されます.これを全部自分で準備するのは大変なのでパッケージとしてまとめたもの(ディストリビューション)があり,よく用いられるのがTeX Liveです. Windowsでのインストールではネットワークインストーラを使う方法とISOイメージをダウンロードしてインストールする方法があります.前者の方が手軽ですが,複数台にインストールする場合などはISOイメージをつかった方が(ネットワークに負担を掛けないという意味でも)よいでしょう. ネットワークインストーラによるTeX Liveのインストール†こちらのWebページから install-tl-windows.exe をダウンロードしてダブルクリックする,もしくは,install-tl.zipをダウンロードして解凍後,install-tl-windows.batを実行します.そうするとインストーラが立ち上がるのであとは指示に従ってインストールします.
ISOイメージによるインストール†こちらのWebページの"download from a nearby CTAN mirror"から,"texlive.iso"をダウンロードします("texlive.iso"や"texlive20xx.iso"は最新のisoへのシンボリックリンクになっている).Windows8以降ならばISOファイルを右クリックして"マウント"を選べば,ISOファイルがマウントされます.install-tl-windows.batを実行すれば後はネットワークインストーラの場合と同じです. Atomのインストールと設定†Atomはオープンソースのエディタで,FirefoxやChomeの拡張機能のようにコミュニティで公開されている数多くのパッケージにより機能を拡張できることが大きな特徴です.TeX関連のパッケージも数多くあり,簡単にTeX編集環境を構築できます. Atomのインストール†公式サイトからインストーラ(AtomSetup.exe)をダウンロードしてインストールします. Chocolateyを導入してあるならば,以下のコマンドを実行します. cinst -y atom Atomの設定†TeX関連のパッケージをインストールしておきます. パッケージはAtomを開いて,メニューのFile->Settingから設定を開き,左の項目から"Install"を開き, "Search packages"のところにパッケージ名を入力して検索し,Installをクリックすることでインストールされます. 以下はTeX関連のパッケージです.TeXを使うならばなるべく入れておきましょう.
Latexmkの設定†日本語のTeXファイルからPDFを作成・表示するまでには一般的には,
と長い手順を踏む必要があります. Makefileを作ったり,エディタ側でマクロを作成してもよいのですが, ここではこの手順を自動化してくれるlatexmk を使ってみましょう. Perl環境のインストール†Latexmkを使うにはPerlインタプリタが必要です. Perl環境はWindowsならStrawberryPerlやActivePerlなどがあるのでどちらかを公式サイトからダウンロードしてインストールしましょう. Chocolateyが導入してあるならば, cinst -y strawberryperl を実行すればOK. Latexmkのインストールと設定ファイル†LatexmkはTeX Liveはもちろん,ほとんどのTeXディストリビューションに含まれているので特にインストール作業は必要ありません.不安ならばコマンドプロンプトで以下のコマンドを打ってみてください. latexmk -help TeX Liveをインストールしたのに上記コマンドでそんなコマンドはないと言われたら,PATHにTeX Liveのフォルダが設定されているか,設定した後に再起動したかを確かめてみましょう. "Script interpreter is not found in PATH"というメッセージが出たらPerlインタプリタがないということなので上記のPerl環境のインストールを参考に導入してください. Latexmkの設定はホームフォルダに置いた.latexmkrcファイルに記述します(最初に"."(ドット)がついたファイル名は,Windowsだとエクスプローラから"ファイル名を変更"で作ろうとすると「ファイル名を入力してください」といわれてそのままでは作れません.テキストエディタの保存時に"すべてのファイル(*.*)"で保存するようにするか,エクスプローラ上でファイル名を変える場合はファイル名の最後にも"."をつけるようにしましょう). Windowsだとホームフォルダは%USERPROFILE%(C:\User\{ユーザ名}など)なのでそこに設定ファイルを作って置きます.設定ファイルの中身の例を以下に示します. #!/usr/bin/perl # commands for latex,bibtex,dvipdf. %S : source file, %B : base name, %D : pdf file, %O : option $latex = 'platex %O -interaction=nonstopmode -synctex=1 -kanji=utf8 %S'; $bibtex = 'pbibtex %O %B -kanji=utf8'; $dvipdf = 'dvipdfmx %O -o %D %S'; # method to make pdf - 0:not making, 1:pdflatex, 2:ps2pdf, 3:dvipdf $pdf_mode = 3; # simply open by SumatraPDF $pdf_previewer = '"C:\Program Files\SumatraPDF\SumatraPDF.exe"'; platexのオプションには,
上記ではPDFビューワにSumatraPDFを用いています.SumatraPDFはファイルをロックしないのでPDFファイルを開いたままdvipdfmxを実行することができます(Adobe Readerはできない). 設定をTeXドキュメント毎に分けたい場合は,ホームフォルダには置かずにtexファイルと同じフォルダ内にlatexmkrcファイル(こちらの場合は先頭の"."(ドット)は必要ない)を置けばOKです. Latexmkの使い方†基本的にはコマンドプロンプトでtexファイルのあるフォルダに移動して, latexmk と打てば,フォルダ内のtexファイルに対して実行されます. texファイルを指定する場合は, latexmk test.tex とします. ビルド後にビューワでpdfファイルを開く場合は, latexmk -pv test.tex とします(この場合,対象となるtexファイルは1つのみになるようにする). texファイルを常に監視して,更新されたら自動的に再コンパイルしたい場合は, latexmk -pvc test.tex とします(注:もし設定ファイルで"-interaction=nonstopmode"を指定していない場合は,ここで指定しておくこと).自動更新をストップする場合は,コマンドプロンプト上でCtrl+Cを押せばOK. Atomとの連携設定†AtomのlatexパッケージからLatexmkを読んで,PDFファイルを外部ビューワ(SumatraPDF)か内部ビューワで表示するための設定です. まず,latexパッケージを設定のInstallから検索してインストールします. 次に,latexmkの設定を変えるために, %USERPROFILE%\.atom\packages\latex\lib\builders\latexmk.js をエディタで開き,29行目あたりの constructArgs のところをたとえば以下のように変更します. constructArgs (filePath, jobname) { const outputFormat = atom.config.get('latex.outputFormat') || 'pdf' const args = [ '-e', '"$latex=\'platex %O -interaction=nonstopmode -synctex=1 -kanji=utf8 %S\'"', '-e', '"$bibtex=\'pbibtex %O %B -kanji=utf8\'"', '-e', '"$dvipdf=\'dvipdfmx %O -o %D %S\'"', '-e', '"$pdf_mode=3"', '-interaction=nonstopmode', '-f', '-cd', '-norc', '-gg', '-pdfdvi', ] 次にSumatraPDFでのforward/inverse-searchを有効にするために, %USERPROFILE%\.atom\packages\latex\lib\openers\sumatra-opener.js を開き,7行目あたりの open 関数のオプション設定(const args)をたとえば以下のように変更します. const args = [ '-reuse-instance', '-inverse-search', `"\\"${process.env.userprofile}\\AppData\\Local\\atom\\app-${atom.getVersion()}\\atom.exe\\" \\"%f:%l\\""`, '-forward-search', `"${texPath}"`, `"${lineNumber}"`, `"${filePath.replace(/\.dvi$/, '.pdf')}"` ] これによりPDFビューワ上で変更したいところをクリックすると,Atomエディタ上のカーソルが対応する位置に移動します. SumatraPDFをビューワとして使う場合はAtomのFileメニューからConfig(日本語化してあるなら個人設定)をクリックして, %USERPROFILE%\.atom\config.cson を開いて(Fileメニュー->Configで開ける),以下の記述を追加します. latex: alwaysOpenResultInAtom: false sumatraPath: "C:\\Program Files\\SumatraPDF\\SumatraPDF.exe" 外部ビューワを使う方法以外に内部ビューワを使う方法もあります. 内部ビューワでPDFを表示したい場合は,まず,pdf-viewパッケージをインストールし, 上記のconfig.csonでalwaysOpenResultInAtomをtrueにしておきます. latex: alwaysOpenResultInAtom: true この設定はFileメニュー -> Settings -> Packages -> latex の Settings内の "Always Open Result in Atom"項目でもON/OFFできます. latexパッケージのデフォルトでは内部ビューワで開くファイルの種類がDVIになっているので, これをPDFに変える必要があります.下記のファイルを開きます. %USERPROFILE%\.atom\packages\latex\lib\openers\atompdf-opener.js 25行目あたりの atom.workspace.open(... の部分を以下のように書き換えます. // TODO: Make this configurable? atom.workspace.open(filePath.replace(/\.dvi$/, '.pdf'), {'split': 'right'}).then(forwardSync) (バージョンによって違うかもしれませんが,要はfilePath変数を単純に指定しないで,
filePath.replace(/\.dvi$/, '.pdf')とすることで開くファイルの拡張子をPDFに変えればOK) Atom上でのTeXコンパイル†これまでの設定をしてあるならば,TeXファイルをAtomで開いて,Ctrl+Alt+Bをタイプするか, Packageメニュー -> LaTeX -> BuildでビルドからPDF表示まで実行してくれます. 前節でforward searchを設定していたならば,PDFを表示した後,Atom上のカーソル位置にジャンプしてくれます. ビルド中はステータスバーに"Compiling TeX file..."と表示されます. もしエラーが出たら,"LaTeX compilation error"と赤字で表示されるので, このメッセージをクリックするとlogファイルを開いてくれるのでエラー内容を確認して修正しよう ("Error"や"LaTeX Error"で検索するとよい). キーバインドの変更†個人的にデフォルトのCtrl+Alt+Bは打ちづらいのでキーバインドをCtrl+Spaceに変更しています. 変更するためには,Fileメニュー -> Keymap(日本語だとキーマップ)で keymap.cson を開いて以下を追加します. 'atom-text-editor[data-grammar~="latex"]': 'ctrl-space': 'latex:build' キーバインドは Fileメニュー -> Setting -> Keybindings で確認できます. 対応するキーの左側のアイコン(下図参照)をクリックすると上記のような設定がクリップボードにコピーされるので, それをkeymap.csonに貼り付けて,キー設定を変えることができます. ただし,latexパッケージのものについては標準では1行目が 'atom-text-editor[data-grammar~='latex']': となっており,シングルクォーテーションが入れ子になっているせいでエラーが出ます. そのため,'latex'部分をダブルクォーテーションに変えています. ちなみにkeybinding-resolverパッケージが入っているならば,Ctrl+.をタイプした後,検索したいショートカットキーを打てば, 下図のように何に割り当てられているのかを確認することもできます. Atom TIPS†TeX関連以外で便利そうなパッケージ†
Windowsでの関連づけ†Atomのexeへのパスは, %USERPROFILE%\AppData\Local\atom\app-1.10.1\atom.exe です(%USERPROFILE%の部分はC:\Users\{ユーザ名}など環境によって違います). このパスのapp-1.10.1の部分がバージョンによって変わってしまうので,Atomをバージョンアップしたら開けなくなったということが発生します. これに対応するために, %USERPROFILE%\AppData\Local\atom\bin\atom.cmd というバッチファイルが用意されているのでこちらにファイルを関連づければ大丈夫です. ファイルアイコンが気に入らない場合は,フリーソフトの「Default Program Editor」などで変えましょう. Atomのアイコンは, %USERPROFILE%\AppData\Local\atom\app.ico にあります. |