Arnoldi法では非対称行列を扱ったが,Aが対称行列だった場合, アルゴリズムを簡素化できる. これがランチョス(Lanczos)法である. まず,Arnoldi法でAが実対称行列だったとき, &ref(ls_lanzcos1.eq1.gif,nolink,70%);も対称行列になる. さらに&ref(ls_lanzcos1.eq2.gif,nolink,70%);はヘッセンベルグ行列であり,&ref(ls_lanzcos1.eq3.gif,nolink,70%);,ただし i > j+1 である. よって,&ref(ls_lanzcos1.eq2.gif,nolink,70%);が対称行列ならば,i < j-1 でも&ref(ls_lanzcos1.eq3.gif,nolink,70%);となる. つまり,以下のような三重対角行列(対角成分とその左右のみに値がある行列)となる. #ref(ls_lanzcos1.eq4.gif,nolink,70%) ここで,&ref(ls_lanzcos1.eq5.gif,nolink,70%);とした. &ref(ls_lanzcos1.eq6.gif,nolink,70%);の代わりに&ref(ls_lanzcos1.eq7.gif,nolink,70%);を使って, Arnoldi法(修正グラム・シュミットを用いたもの)を書き換える. 今,i < j-1で&ref(ls_lanzcos1.eq6.gif,nolink,70%);が0となることから,i=j-1,jについてのみ考えればよい. i=j-1では,&ref(ls_lanzcos1.eq8.gif,nolink,70%);なので,&ref(ls_lanzcos1.eq9.gif,nolink,70%);と置き換えることができる. ただし,&ref(ls_lanzcos1.eq10.gif,nolink,70%);と置いておく. 次に,i=jでは,&ref(ls_lanzcos1.eq11.gif,nolink,70%);なので,&ref(ls_lanzcos1.eq12.gif,nolink,70%);と置き換えることができる. 最後に&ref(ls_lanzcos1.eq13.gif,nolink,70%);と置き換え,&ref(ls_lanzcos1.eq14.gif,nolink,70%);は次の反復において&ref(ls_lanzcos1.eq15.gif,nolink,70%);として用いられる. これらのことを適用するとアルゴリズムは以下のようになる. > 任意のベクトル&ref(ls_lanzcos1.eq16.gif,nolink,70%);を設定(ただし&ref(ls_lanzcos1.eq17.gif,nolink,70%);)~ &ref(ls_lanzcos1.eq18.gif,nolink,70%);を設定~ for(j = 1,2,...,m){~ &ref(ls_lanzcos1.eq9.gif,nolink,70%);~ &ref(ls_lanzcos1.eq19.gif,nolink,70%); &ref(ls_lanzcos1.eq12.gif,nolink,70%); &ref(ls_lanzcos1.eq19.gif,nolink,70%);~ &ref(ls_lanzcos1.eq12.gif,nolink,70%);~ &ref(ls_lanzcos1.eq20.gif,nolink,70%);~ if(&ref(ls_lanzcos1.eq21.gif,nolink,70%);) 反復終了~ &ref(ls_lanzcos1.eq22.gif,nolink,70%);~ } これがLanczos法である.