アーノルディ法(Arnoldi's Method)は非対称行列のKrylov部分空間における正規直交基底を求める方法である.
ちなみに対称行列に限定したLanczos法もある.

Arnoldi法のアルゴリズムを以下に示す.

>
任意のベクトル&ref(ls_arnoldi.eq1.gif,nolink,70%);を設定(ただし&ref(ls_arnoldi.eq2.gif,nolink,70%);)~
for(&ref(ls_arnoldi.eq3.gif,nolink,70%);){~
  &ref(ls_arnoldi.eq4.gif,nolink,70%);~
  &ref(ls_arnoldi.eq5.gif,nolink,70%);~
  &ref(ls_arnoldi.eq6.gif,nolink,70%);~
  もし,&ref(ls_arnoldi.eq7.gif,nolink,70%);なら反復終了~
  &ref(ls_arnoldi.eq8.gif,nolink,70%);~
}~

ここでAは対象となる非対称行列である.

wの計算手順をまとめて書くと,
#ref(ls_arnoldi.eq9.gif,nolink,70%)

となり,&ref(ls_arnoldi.eq10.gif,nolink,70%);なので,
&ref(ls_arnoldi.eq11.gif,nolink,70%);は[[グラム・シュミットの直交化法]]でベクトル&ref(ls_arnoldi.eq12.gif,nolink,70%);から&ref(ls_arnoldi.eq13.gif,nolink,70%);に
直交するベクトルを求めていることになる.
そのため,
Arnoldi法でj=mまで計算された場合,
&ref(ls_arnoldi.eq14.gif,nolink,70%);はKrylov部分空間の正規直交基底
#ref(ls_arnoldi.eq15.gif,nolink,70%)

を構成する.

さて,アルゴリズムより,
#ref(ls_arnoldi.eq16.gif,nolink,70%)

であり,これを変形すると,
#ref(ls_arnoldi.eq17.gif,nolink,70%)

ここで&ref(ls_arnoldi.eq18.gif,nolink,70%);である.
この式がどのような形になっているのかを確かめるために,
m=3の場合で,&ref(ls_arnoldi.eq19.gif,nolink,70%);を列とする行列を使って書き下してみる.
#ref(ls_arnoldi.eq20.gif,nolink,70%)

上記の式はこのように書ける.これをm次元に一般化する.
&ref(ls_arnoldi.eq21.gif,nolink,70%);の行列&ref(ls_arnoldi.eq22.gif,nolink,70%);を使うと,
#ref(ls_arnoldi.eq23.gif,nolink,70%)

&ref(ls_arnoldi.eq24.gif,nolink,70%);は基本ベクトルである.
&ref(ls_arnoldi.eq25.gif,nolink,70%);はヘッセンベルグ標準形と呼ばれる形式になっており,
行列AをKrylov部分空間に射影した行列となっている.
&ref(ls_arnoldi.eq26.gif,nolink,70%);は直交行列なので,この式の両辺に&ref(ls_arnoldi.eq27.gif,nolink,70%);を掛けると,
#ref(ls_arnoldi.eq28.gif,nolink,70%)

となる.

ちなみに,Aと&ref(ls_arnoldi.eq25.gif,nolink,70%);の固有値は同じとなるので,
この方法は固有値計算にも用いられる.



**修正グラム・シュミット法を用いたArnoldi法 [#a76b0fa1]
修正グラムシュミット法([[グラム・シュミットの直交化法]]参照)を使ったArnoldi法のアルゴリズムを以下に示す.

>
任意のベクトル&ref(ls_arnoldi.eq1.gif,nolink,70%);を設定(ただし&ref(ls_arnoldi.eq2.gif,nolink,70%);)~
for(j = 1,2,...,m){~
  &ref(ls_arnoldi.eq29.gif,nolink,70%);~
  for(i = 1,2,...,i){~
  for(i = 1,2,...,j){~
    &ref(ls_arnoldi.eq30.gif,nolink,70%);~
    &ref(ls_arnoldi.eq31.gif,nolink,70%);~
  }~
  &ref(ls_arnoldi.eq32.gif,nolink,70%);~
  if(&ref(ls_arnoldi.eq33.gif,nolink,70%);) 反復終了~
  &ref(ls_arnoldi.eq8.gif,nolink,70%);~
}

丸め誤差がなければ通常のArnoldi法と結果は同じとなる.

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